コミュニケーション能力が低いと年収は2分の1。これからはIQよりもEQの時代になっていく。

コミュニケーション能力が低いと年収は2分の1。これからはIQよりもEQの時代になっていく。 コミュニケーション能力

Harvard Business Schoolの調査によると、コミュニケーション能力の差で年収が2倍も変わるという衝撃的なデータがあります。私たちが何気なく使っているコミュニケーションの差で豊かさは大きく変わってきてしまいます。

コミュニケーション能力には学歴以上の価値があるということに目を向けなくてはこれから先の時代に生き残っていくことは出来ません。経団連のアンケートによると、企業が採用時に重視する要素とは10年連続で「コミュニケーション能力」が第1位に輝いています。

コミュニケーション能力

一昔前まではIQ「知能指数」の高さが人の能力を決める重要な要素となっていました。主に記憶、推理、判断を重視した評価判断方法です。一方、近年ではEQ「心の知能指数」の高さこそがIQよりも重要な要素として認識されつつあります。EQは主に共感、共鳴といった感情を重視した評価判断方法です。

組織とは人と人とがつながりあう場所です。だからこそ、どんなに仕事が出来ても、人の気持ちを汲むことが出来ない人は優秀なリーダーになることは出来ません。そればかりか、家族や友人関係、地域関係などコミュニケーション能力が必要な分野でことごとく痛い目を見ていくことになります。

コミュニケーション

↑現代社会はコミュニケーション能力が低い人間にはとてつもなく生きづらい場所になっている。(photo by Michigan Municipal League)

EQリーダーシップという書籍において、理想のリーダーが使いこなしているリーダーシップ・スタイルを4つに分類してまとめていましたので紹介させていただきます。

  • ビジョン型リーダーシップ
  • コーチ型リーダーシップ
  • 関係性重視型リーダーシップ
  • 民主型リーダーシップ

それぞれの詳しい説明は本題からそれてしまうので省きますが、言葉からも分かる通りどのリーダーシップ・スタイルもコミュニケーション能力がないと身に着けられるものではないということがお分かりいただけるのではないでしょうか?(1)

私たちの社会は私たちが普段考えているよりもはるかにコミュニケーション能力を必要としているのです。逆を返せば、EQとはコミュニケーション能力を極めることで高まってくる性質のものだと言えます。要は、コミュニケーション能力を磨くことで集団の中で自らのポテンシャルを最大限に発揮することが出来るということです。

Nick Clegg takes questions from conference delegates at the Lib Dem Autumn conference in Bournemouth 2009

↑コミュニケーション能力を磨くことでどのような分野でも最大限の活躍をすることが出来る。(photo credit: clegg q+a 07 via photopin (license))

心理学者のアルバート・メラビアン博士は、話し手が聞き手に与える影響がどのような要素で形成されるか測定しました。 その結果、話し手の印象を決めるのは、「言葉以外の非言語的な要素で93%の印象が決まってしまう」ということがわかりました。

視覚情報 (Visual) – 見た目・身だしなみ・しぐさ・表情・視線 …55%
聴覚情報 (Vocal) – 声の質(高低)・速さ・大きさ・テンポ …38%
言語情報 (Verbal) – 話す言葉そのものの意味 …7%

実は、言語的な部分は1割にも満たない、7%しか相手に伝わらないのです。(2)

コミュニケーション能力というと、多くの人は言語的な話し方ばかりに目を向けてしまいがちですが、言語的な情報が相手に与える印象は7%しかないのです。視覚情報や聴覚情報からのインパクトのほうがはるかに大きな印象を与えられます。

トーク

↑言語情報が話し手に与える印象は全体の7%しかないにも拘わらず、コミュニケーション能力の大半が言語情報を磨けばつくと誤解されている。(photo by Weltbild Verlag GmbH)

視覚情報や聴覚情報が与えるインパクトは当人が思っている以上に大きいものです。例え、言語情報を使わなかったとしても、相手に心を閉ざしてしまうと、相手はそのことを表情や態度、声の質から読み取ります。それを受けた相手も心を閉ざしてしまうといった事が起こります。(3)

一方、相手に対して心を開いた状態で接すると逆の現象が起こってきます。相手は表情や、態度、声の質から自らに心を開いてくれているということを読み取り、同じく心を開いてくれるでしょう。

視覚情報や聴覚情報は言語情報よりも相手の感情に直に働きかける性質を持っているため、言語情報よりもはるかに相手に対してのインパクトが大きいのです。

笑顔

↑100の言葉を投げかけるよりも1つの笑顔のほうがはるかに好印象を与えられる。(photo by Daniel Go)

EQを語るうえで外せないのが衝動と知性です。この2つは別々の神経回路でコントロールされていますが、両者は密接に関わりあっています。衝動は脳の奥深くにある大脳辺緑系という部分にて司られています。一方、知性は脳の表面にある前頭葉前部という部分にて司られています。

大脳辺緑系は人間が進化していく前の古い段階からあった脳の部分です。前頭葉前部は人間が知性を発達させてから出来てきた比較的新しい脳の部分です。このことからも人間の衝動は知性よりも本能的に根深く強力です。(4)

言語情報は知性に、視覚情報、聴覚情報は人間の衝動に働きかけます。EQにおけるコミュニケーション能力は主に衝動に働きかける共感を重視しています。

脳

↑人間の衝動は知性よりも深い部分からきているため、はるかに強力に働きかける。(photo by TZA)

衝動を司るコミュニケーション能力を向上させていきたいなら、「思い込みをしないこと」を絶えず意識していく必要があります。思い込みが問題なのは、多くの人は思い込みを真実と捉えてしまうからです。思い込みを真実と捉えることで、その思い込みを個人的に受け取り、他者を攻め、悪い感情を周囲にまき散らしてしまう性質があります。(5)

前頭葉前部は人間が知性を発達させるために特化していった脳の部位です。主に人間の思考を司っています。前頭葉前部は「頭」、大脳辺緑系を「心」とお伝えしたほうが分かりやすいかもしれません。「思い込み」とは主に「頭」で行ってしまうものです。思考とはノイズのように絶えず流れてくる性質を持っています。(6)

試しに5分目を閉じてみてください。あなた自身の思考の多さにびっくりするはずです。

この流れる思考をすべて自分自身が考えていることだと認識してしまうと、思考に自分自身が支配されてしまいます。要するに「思い込み」の呪縛から逃れることが出来なくなってしまうのです。あくまで、思考は頭が勝手に作り上げている思い込みで、「心」も含めた自分自身が考えていることではないと認識することが大切になってきます。

思考と自分自身とは別物として認識することで、思い込みに捉われる頻度は少なくなって行きます。雑念を意識的に観察することで思考を制御することを仏教では観照と呼んでいます。(7)

心

↑観照とは思考を観察することで意識的に受け流し、心を平安に保つこと。(photo by Moyan Brenn

思考を観照するには瞑想を行うことが効果的ですが、より簡単で瞑想と同じく効果的な方法があります。それは呼吸を意識的に観察することです。思い込みとは過去や未来に思考が捉われているからこそ発生します。よって、意識を現在に戻すことが出来れば自然と思い込みに捉われることはなくなるのです。(8)

呼吸とは過去に戻って行う事も、未来に行って行う事も出来ません。「今この瞬間」にしか体感出来ない行為です。思考が過去や未来に捉われてしまった場合、意識的に呼吸をすることで、思考と「今この瞬間」を分離することが出来ます。分離することで、思い込みに捉われることは自然となくなって行きます。

ポイントは自然な呼吸をただ意識的に観察することです。ただそれだけです。「今この瞬間」に意識が戻ってこれるということは、頭ではなく、心で感じることが出来るでしょう。人は心に意識を置く時に本当の平安を感じることが出来るのです。(9)

呼吸

↑自らの呼吸に意識を向けると思考に捉われていた意識を心に戻すことが出来る。

経済産業省が提唱している考え方に社会人基礎力というものがあります。これは「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」を表しています。その中のチームで働く力の中に傾聴力と言う項目があります。

傾聴とは単なる耳を傾けるという作業ではありません。耳だけでなく心を傾けて相手の話を聴くことに徹する共感を重視した聞き方となります。(10)

人は傾聴して話を聞いてもらうことで、本人すら自覚していなかった心のそこで眠っている想いや願いに気づくようになります。また、人は傾聴してもらうことで、自らの話を真剣に受け止めてくれる聞き手に対して信頼を置いてくれるため、よりよい人間関係を築くきっかけとなります。(11)

傾聴とは円滑な人間関係を築く上でとても大事なコミュニケーションツールとなるのです。

傾聴

↑傾聴力とは社会人基礎力の土台となるチームワークに必要不可欠な要素。

傾聴のコツは話し手の話を聞いている時に意識的に相手にスポットライトをあてるイメージを持つことです。また、傾聴の練習を意識的にする場合は、会話相手が7、あなたが3の割合で話をするように心掛けてみて下さい。あくまで会話のスポットライトの主軸は会話相手にあてる意識を持つことが大切です。(12)

また、傾聴している時の質問は相手が話す事柄に焦点をあてるのではなく、相手自身にあてるよう意識をしてみて下さい。相手が感じていること。考えていることこそが相手が最も共有したい部分となるからです。相手に意識を向けるための最も簡単な質問は「ユー・クエスチョン」と呼ばれています。

  • 「あなたにとってそれはどういうこと?」
  • 「あなたはどう感じたの?」
  • 「あなたの価値観にとってどのような出来事なの?」etc。

相手を主軸に質問することで、話し手はより深く会話の深淵に潜り込んで行くことでしょう。より本質的な深い部分を相手から聴くことで相手との心理的距離はぐっと縮まっていくことでしょう。(13)

クエスチョン

「ユア・クエスチョン」は話し手との距離をぐっと縮める魔法の質問。

ノンバーバルコミュニケーションも相手との信頼関係を築くには重要な要素のひとつです。ノンバーバルコミュニケーションとは言語情報以外のコミュニケーションを指します。相手との信頼関係を築く上でミラーリングやペーシングという技術は特に強力です。

人は共通点の多い人に無意識的に親しみを感じるように出来ています。動作を同調させて信頼関係を向上させる手法を確立したのは、催眠療法の大家ミルトン・エリクソン博士です。博士は相手と呼吸、姿勢、声色、身振りを同調させることで、短期間で相手との間に信頼関係を築くことが出来たのです。人はすぐに博士のことを信頼するようになっていきました。(14)

ミラーリングとは話し手の身体の動きをまるで鏡のように同調させていく方法です。ペーシングとは相手の口調や呼吸などのペースを同調させていく方法です。ともに、簡単だから誰でもすぐに使いこなすことが出来ますが、とても強力なコミュニケーション技術になります。(15)

ミラーリング

↑相手と鏡のように同調するだけでも強い信頼関係を創ることが出来る。(photo by JD Hancock)

ここまでは衝動に働きかけるコミュニケーションツールの強力さについてお伝えさせていただきました。最後に最も強力なツールを紹介させていただきます。その魔法のツールとは笑顔です。

脳には「ミラーシステム」という、目の前のことを自分のことのように感じる仕組みが備わっていますから、あなたの笑顔を見た相手は、いかにも自分が笑顔になる場面にいるかのような感覚になるのです。確かに笑顔や笑いは、相手の脳の報酬系を活動させることも知られています。(16)

あなたが笑顔で接することで相手も楽しくなってくるのですから、コミュニケーションを行う時は常に笑顔を心掛けて見るよう意識してみて下さい。きっとコミュニケーションの本質が大きく変わるはずです。

笑顔には、人の心を明るく、柔和で好意的にさせてくれる偉大な力があります。従って常に笑顔を心がける人の未来は、ポジティブに飛躍するようになるのです。ジョセフマーフィー(17)

笑顔は最強のコミュニケーションツール

↑笑顔は最強のコミュニケーションツール(photo by Tom Conger

下のリンク記事は自己実現ラボにおけるコミュニューション能力向上を題材に書いた記事をまとめた記事となっております。コミュニケーション能力を伸ばしたい方がこの記事を読めばご自身にあった最適な記事を見つけることが出来るでしょう。よろしければ併せてご覧ください。

この記事を書いた人

こんにちは、自己実現ラボの坪井一真です。私は国際コーチ連盟認定プロフェッショナルコーチ(PCC)資格を持つプロのコーチとしてビジネスパーソンやアスリートのコーチングに従事しています。

また、1日10時間の瞑想を10日間、誰とも話さずに行うヴィパッサナー瞑想を5回も経験し、個人的な瞑想時間は累計で4000時間以上

これらの経験から得た知識や洞察を基に、自己実現ラボではセルフアップデートをメインテーマに、読者がその日から変化できる内容をお届けしていきます。
□シードコミュニケーションズ株式会社代表
□国際コーチ連盟認定資格 Professional Certified Coach(PCC)
□米国CTI認定CPCC®(Certified Professional Co-Active Coach)

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