理想の子供に育てる!子育てコーチングにおける3つの大事な事

子育てコーチング コーチングの理論と実践

今回の記事では子育てコーチングについてお伝えしていきます。子育ての悩みを抱えているにも関わらず、子供とどのように接していけばいいのかが分からないという方は意外に多いものです。その理由は、子育てを上下の関係で捉えているからです。

「親のいう事に子供は絶対に従わなくてはいけない。」
このような意識が頭の片隅にでもあるならば、子育てがうまくいかないのは当然です。この考え方では子供の自主性を虐げるだけで、子供にとっては親に対する反発の意識だけが残ってしまうからです。

子育てコーチングでは親と子供を横の関係で捉えます。

当然、立場は同じではありませんが、ひとりの人間として対等に接することで、子供の自主性を伸ばしていくことが出来ます。また、子供の考えを認めて上げることで、子供は承認欲求が満たされていきます。

承認欲求とは人なら誰しもがもつ、他人に認められたいという欲求です。この欲求が満たされることで、自分と言う存在に自信を持つことが出来るのです。自信を持つことで、子供は自己肯定感を芽生えさせます。自己肯定感とはありのままの自分自身でも素晴らしい存在なんだという認識です。

この記事を書いた人

こんにちは、自己実現ラボの坪井一真です。私は国際コーチ連盟認定プロフェッショナルコーチ(PCC)資格を持つプロのコーチとしてビジネスパーソンやアスリートのコーチングに従事しています。

また、1日10時間の瞑想を10日間、誰とも話さずに行うヴィパッサナー瞑想を5回も経験し、個人的な瞑想時間は累計で4000時間以上

これらの経験から得た知識や洞察を基に、自己実現ラボではセルフアップデートをメインテーマに、読者がその日から変化できる内容をお届けしていきます。

□国際コーチ連盟認定資格 Professional Certified Coach(PCC)
□米国CTI認定CPCC®(Certified Professional Co-Active Coach)

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第1章 理想の子供に育てる!子育てコーチングにおける3つの大事な事

自己肯定感が高い子供は自分自身の大切さを理解しています。そして、自分と同様に他人も大切な存在だという認識を持っているため、人にも優しく出来るのです。

一方、自己肯定感が低い子供は、自分自身に価値を見出せません。よって、常に不安が付きまといます。その影響から、他人に対して優しくすることが出来ない上に、自己中心的でわがままな性格となってしまうのです。誰にも認めてもらえない自分自身の存在に混乱している状況だと言えます。

子育てコーチングの目的は、子供と横の関係を構築し、子供を承認し、自己肯定感の高い子供に育てていくことです。

その為の方法を今回はお伝えしていきます。

関連記事として子育ての悩みを解消いい子に育つには?アドラー心理学4つの知恵も併せてご覧ください。子育ての悩みをなくし、いい子に育てるために、アドラー心理学の考え方を子育てに用いる方法をお伝えしております。

Ⅰ.アドラー心理学における子育て論

子育てコーチングを行う前に、アドラー心理学を知っておくと役立ちます。特に、課題の分離、対等なコミュニケーション、共同体感覚について理解すると、子供に対する接し方が大幅に変わって来るでしょう。今回はアドラー心理学でも特に子育てにおいて重要なポイントを中心に説明させていただきます。

より詳しくアドラー心理学を知りたい方は【アドラー心理学入門】人を必ず成功に導く21世紀の劇薬アドラー心理学とは?をご覧ください。

1.課題の分離

およそあらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むことーあるいは自分の課題に土足で踏み込まれることーによって引き起こされます。課題の分離ができるだけで、対人関係は激変するでしょう。

(中略)

アドラー心理学は、放任主義を推奨するものではありません。放任とは子どもがなにをしているのか知らない、知ろうともしない、という態度です。そうではなく、子どもがなにをしているのは知った上で、見守ること。勉強についていえば、それが本人の課題であることを伝え、もしも本人が勉強したいと思ったときにはいつでも援助をする用意があることを伝えておく。けれども、子どもの課題に土足で踏み込むことはしない。頼まれもしないのに、あれこれ口出ししてはいけないのです。

嫌われる勇気より抜粋

多くの親はアドラー心理学でいう所の課題の分離が出来ていません。子供の課題をまるで自分の課題のように扱ってしまうのです。その結果、子供の課題に対して、親が土足で踏み込んでしまうのです。これでは、子供は自主性を損なわれる上、親に対して憎しみや嫌悪感を覚えてしまうのは当然だとも言えます。

現在、自分が関わろうとしている課題は誰の課題か?という事を常に意識しておくことが必要です。

また、それが子供の課題であったならば、子供を信頼し、その課題は子供に任せておくべきです。そして、子供が助けを求めてきた時はいつでも手助けをするという意思を持ち続けることこそが、子供との良好な関係を築くのに必要なことなのです。

2.対等なコミュニケーション

アドラー心理学では人と人とは上下の関係ではなく、横の繋がりであるべきだと伝えています。コーチングもアドラー心理学と同じく、上下の関係ではなく、横のつながりを重視しています。上下の関係がなぜだめなのかと言うと、立場の高いほうが低いほうを判断し、評価するという性質があるからです。

評価とは行為に対して下されるものです。何かをしたから評価をするという繰り返しでは、自分の価値は何かをした時にしかないのだと思ってしまいます。それでは、何もしていない自分自身には価値がないのだと考えてしまうわけです。

これでは、子供が自己肯定感を育むことは出来ません。子育てコーチングではあくまで親と子は立場は違うけれども、横のつながりを持って接していくという認識を持つことが大切です。

親が子供よりも上の立場だという思いを手放すことからはじまります。

3.共同体感覚を身に付ける

子供の自己肯定感が高くなると、自分に対してだけではなく、他人に対しても優しく接することが出来ます。そして、アドラー心理学でいうところの、幸せの定義、共同体感覚を身に付ける上で重要な、他者信頼、他者貢献が自然と出来るようになってくるのです。

他者信頼とは、無条件で他者を信頼することです。そして、他者貢献とは他者に貢献することを指します。他者信頼と他社貢献が出来て初めて、人は自己受容できるのです。自己受容とは自分のいいところも、悪いところも含めて、自分を認め、愛することを指します。

この他者信頼、他者貢献、自己受容が出来て初めて共同体感覚を身に付けることが出来ます。共同体感覚とは所属する共同体に貢献することで感じる幸せの事です。人は誰しも一人では生きていけません。だからこそ、共同体を作り上げていきます。そして、人が本当に幸せを感じることが出来るのは共同体に貢献出来た時なのです。

人類の長い歴史において人は共同体に貢献することで幸せを感じるように進化してきました。子育てコーチングを行い、子供の自己肯定感を高めることで、子供は自発的に共同体感覚を身に付け、自分も他人も幸せにすることが出来るようになっていくのです。

そうすることで、所属する共同体や人脈が自然に増え、チャンスや運にも恵まれていくのです。だからこそ、子育てコーチングを行うことで子供は将来にわたる大切な資産を手に入れることが出来るのだと言えます。

Ⅱ.子育てコーチングでやってはいけない6つの事

この章では子育てコーチングを始めるにあたり、やってはいけないことをお伝えしていきます。意識をしないとついつい口走っていることが多いことを中心にまとめさせていただきました。

1.ユア・メッセージ

ユア・メッセージとは主語を相手として発信するメッセージです。

例えば「よく頑張ったな」などは主語が相手になるため、ユア・メッセージとなります。ユア・メッセージがどうしていけないのかというと、相手を評価するメッセージになってしまうからです。

相手を評価するメッセージと言うことは、上下の関係に根差したコミュニケーションとなってしまいます。子育てコーチングはあくまで子供と横のつながりを重視しているため、上下の関係に根差したコミュニケーションは行いません。

2.感情をぶつける

子育てコーチングが横の関係に根差したコミュニケーションだとしても、親として子供を叱る時は出てきます。叱り方にもコツがあるのですが、そのコツは後述するアイ・メッセージでお伝えします。最もいけない叱り方が自分の感情を子供にぶつける叱り方です。これは子供に対しての暴力となにも変わりません。

「なんで何度言ってもわからないの?」「本当に馬鹿なんだから。もうここに置いていくよ。」「そんなこというならもう家に入れて上げないから」etc

このように怒鳴っている方をちょくちょく見かけますが、子供からしたら不当な言葉の暴力を受けているにすぎません。親という立場を威嚇の道具として使い、逆らう事の出来ない子供に対して感情の赴くままにストレスをぶつけるのですから子供としたらたまったものではありません。

このような育て方では子供に憎しみを植え付けているだけに過ぎません。そして、思春期に溜まりに溜まった仕返しを受けてしまうのです。

3.手を上げる

最低最悪の行為ですね。人として終わってます。

4.親の野心を押し付ける

親の叶えられなかった夢や野心を子供に押し付ける親というのも一定数います。子供が本当にやりたいことならまだしも、親の都合を無理やり押し付けられてしまってはたまったものではありません。

にも関わらず、自分の思い通りにならないと子供を叱りつけてしまうのです。このように上下の関係に基づいたコミュニケーションでは、子供の自主性が著しく損なわれてしまうのです。

5.性格を非難する

子供の性格を非難する親も多いのです。親としては叱り飛ばすつもりはなく、ぽろっと言った一言でも子供の心に深く傷をつけてしまう言葉は数多くあります。

「本当にぐずなんだから。」「なんでいつもそんなにとろいの?」「運動も勉強も出来ないで誰に似たのかしらね?」

親としては冗談半分で言ったようなことでも、子供のその後の人生に大きく影響を及ぼしてしまう切れ味鋭い言葉はたくさんあります。子供に向かって危険な言葉を投げかけていないか今一度思い返してみて下さい。

6.人と比較をする

兄弟や友人と比較をしてしまうことで、比較をされた対象の子供の心には大きな傷がつくものです。親は比較をした相手と同じようになってもらいたいという思いから比較をします。

しかし、子供の立場からは今のままの自分ではいけないという強烈な否定を親から発せられているものだと受け取ります。そして、自分自身には価値がないのだという自己嫌悪に陥ってしまうのです。

子供をほかの人と比較をすることでのメリットは何ひとつありません。しいて言うなら、親が子供のためを思って伝えてあげているんだという自己満足感を満たすだけでしかありません。親の自己満足のために子供が犠牲になってしまうのはとても可哀そうな事です。

7.配偶者の悪口を言う

配偶者の軽い悪口でも子供は傷つくものです。

「あの人は毎晩ほっつきあるいてどうしようもない人ね」

「あいつは何をいっても分からない」

「別れたらどっちについてくる?」などなど

子供にとって血のつながった親を否定される事は自分自身を否定された感覚に陥ります。

夫婦でのもめごとに子供を巻き込むのはやめましょう。

Ⅲ.理想の子供に育てる子育てコーチング6カ条

この章では自己肯定感の高い理想の子供に育てるための子育てコーチングについて詳しくお伝えさせていただきます。どの技術も実際のコーチングの技術を取り入れているため効果は保障します。どの技術にも共通することですが、技術を覚えるだけではなく、その背景にある考え方を落としこんで見て下さい。

1.感謝

感謝の気持ちを伝えるということは子供の自己肯定感を高めるためにとても有効な方法です。

「ありがとう」と伝えるだけで、子供は自分の存在が認められたことによるうれしさがこみ上げます。そして、人から認知されることで、自分の存在自体に価値を見出すことが出来るようになるのです。

アドラー心理学では感謝の言葉を伝えることを「勇気づけ」と呼んでいます。まさに、感謝の言葉を伝えるだけで勇気が湧いてくるのです。自分自身に価値を見出し自己肯定感が高まることで子供は自分にも他人にも優しくなることが出来てきます。

2.アイ・メッセージ

先ほどの章ではユア・メッセージとは上下間のコミュニケーションで評価につながってしまうため避けた方がいいメッセージだとお伝えしました。それに対し、アイメッセージとは横のつながりを軸にしたメッセージとなるため、子育てコーチングには欠かせないメッセージとなります。ちなみにアイ・メッセージはほめる時にも、叱る時にも有効な万能型コミュニケーションツールです。

褒める時

例題としていい点数を取った時のほめ言葉を比較してみましょう。

ユア・メッセージの場合

「(お前は)いい点数を取ったな。よくやった。」

アイ・メッセージの場合

「(私は)あなたが頑張っていたのを知っているから、この結果がとても誇らしいと思うよ。」

比較

ユア・メッセージはいい点数を取った事に対してほめています。それではいい点数を取ったという行為に対して評価をしているだけに過ぎません。子供からしてみればいい点数を取る自分には価値があるけれども、いい点数を取らない自分には価値がないと思ってしまっても不思議ではありません。

一方、アイ・メッセージでは、子供の頑張っているという姿に対してほめています。子供がとった点数ではなく、子供の努力に対してほめているからこそ、子供は親のほめ言葉をとても誇らしく感じるのです。

ユア・メッセージが評価をするのに対し、アイ・メッセージが子供自体に向けて発せられたメッセージということがお分かりいただけたのではないでしょうか?

叱る時

例題として悪い点数を取った時の叱り方を比較していきましょう。

ユア・メッセージの場合

「(お前は)なんでこんなに悪い点数を取って来るんだ?勉強をなにもしていなかったのか?」

アイ・メッセージの場合

「(私は)信じていたから今回の結果をとても悲しく思うよ。」

比較

ユア・メッセージは悪い点数を取った事に対して怒っているのに対して、アイ・メッセージは信頼を裏切られたことによる辛さを伝えている所に特徴があります。アイ・メッセージの場合は、直接怒っているわけではありませんが、とても残念に思うという事を子供に伝えています。

このように自分の気持ちを伝えることで、子供は親を悲しませてしまったという罪悪感を持ちます。そして、今後同じことがないように努力をし始める可能性が高くなるのです。

一方、悪い点数をとって叱られた場合は、親に対して「何もわかっていないくせに」という考えが出てくるでしょう。一方的に叱りつけられては反発をしたくなるのが人間という物です。上下のコミュニケーションでは反発を招くだけでなんの解決策も得られないということです。

アイ・メッセージとユア・メッセージに関してより詳しくは上記の記事をご覧ください。

3.ユア・クエスチョン

ユア・メッセージは相手を評価する上下のコミュニケーションであるという事を先ほどまででお伝えさせていただきました。それに対し、ユア・クエスチョンとは横のつながりを保つためのコミュニケーションになります。

ユア・クエスチョンとは相手の気持ちを聞きだすコミュニケーションになります。相手の行為にではなく、気持ちに焦点をあてた聞き方となるため、とても話しやすい問いかけとなるのです。

例えば、

「(あなたは)どうしたいの?」「(あなたは)なにをしたいの?」「(あなたは)どのようにしたいの?」

等です。

ユア・クエスチョンを意識して使うことで、相手の気持ちをより聞きだすことが出来るようになります。

4.傾聴

子育てコーチングにおいて傾聴は欠かせない技術のひとつとなります。傾聴について詳しくは下記の記事をご覧ください。

5.共感

子育てコーチングでは共感も大切な技術のひとつです。子供の話に耳を傾け、子供と同じ気持ちに立って共感を示すことで、子供との間に一体感が生まれます。共感を示すにはノンバーバルコミュニケーションの技術を身に付けることが一番の近道です。ちなみにノンバーバルコミュニケーションとは言語以外から発せられる情報を指します。

ノンバーバルコミュニケーションについて詳しくはノンバーバルコミュニケーションで人を惹きつける11の方法をご覧ください。ノンバーバルコミュニケーションについて、具体的に書いてあります。

6.拡大質問

拡大質問とは相手の話を拡大していく質問となります。コーチングの技術の中でも最も重要な技術だと言えます。それに対し、限定質問という質問もあります。限定質問は相手の会話を返答だけで閉ざしてしまう質問をさします。例えば、「今日は天気がいいですね?」なら「そうですね」というように、次につながる会話にならない質問を限定質問と言います。

growモデル

拡大質問の中でも、相手の問題をはっきりさせ、前向きに導いていく質問をgrowモデルと言います。これはGoal(目標)、Reality(現実)、Options(選択肢)、Will(意志)という4つの領域について様々な質問をすることです。

G(目標)ー自分が本当に達成したいものは何か?

目標を明確にする拡大質問です。目標を明確にすることで子供が自発的に進みたい方向性を聴きだしていくことが出来ます。そうすることで、子供の自主性を尊重した協働関係を築くことが出来るのです。

拡大質問例

「本当は何がしたいの?」

「それができたら、そこから何が得られる?」

「いつまでに目標を達成したい?」

R(現実)ー何が起きているか?

今現在の問題点を明確にする拡大質問です。このように現状で何が起きているかを質問することで、子供の中で現状に対する整理が出来てきます。

拡大質問例

「いつ起こるの?どこで起こるの?どれくらい頻繁に起こるの?」

「その問題は、あなたにとってどれくらい大きい?」

「その問題が起こると、どんなふうに感じる?」

O(選択肢)ー何が出来るか?

問題の解決策に向けてどのような選択肢があるのかを聞きだす質問となります。この質問をすることで、様々な可能性に視野を広げることが出来るため、自分の方向性をしっかりと選び取ることが出来ます。

拡大質問例

「どんな選択肢があるかな?」

「何が出来る?」

「だれにアドバイスしてもらえるかな?」

W(意志)ー何をするつもりか?

子供の意思をはっきりと聞きだし、子供の自主性を尊重した質問となります。子供が本当に進みたい方向を明らかにし、その後押しをしていく質問となります。

拡大質問例

「どの選択肢を選んで進む?」

「話し合いで決めたそれぞれのステップを、いつ初めていつ終えようとしている?」

「妨げになりそうなことは何?どうやって妨げにならないようにする?」

※拡大質問例はコーチングで子供が伸びるより引用させていただきました。

まとめ

子育てコーチングでは子供の意思を尊重することがなによりも大切です。そして、親と子供は立場は違うけれども、対等な関係、横のつながりを持った関係だという意識を親として持つこともとても重要です。子供の自主性を認め、子供の意思を尊重して初めて、親と子供の本質的な関わりが出来るのだと言えます。

親は子供の模範となるべき存在ですが、子供は親の操り人形ではありません。子供の価値観をしっかりと認め、ひとりの人間として尊重することで、親と子のかかわりは深くなっていきます。子育てコーチングでは子供をひとりの人間として接していくことで、子供との間に繋がりを作り上げていくことが出来るのです。

まとめ記事

下記の記事はVisionaryMindのコーチング記事一覧をまとめさせていただきました。コーチングについての情報が網羅されています。

コーチングとは何か?それは人に変化を与えるコミュニケーション術

参考文献

  • 「聞く技術」が子供を伸ばす! 伊東明 河北隆子 PHP
  • コーチングで子供が伸びる! デーヴィッド・ヘメリー ディスカバー・トゥエンティワン

第2章 理想の親子関係を築くための子育てコーチング5つの流れ

あなたが「子育てコーチング」で検索をした時に感じていた気持ちとはどのようなものでしょうか?子供がいう事を聞いてくれない。いい子に育ってくれない。気持ちを抑えることが出来ずに周囲に迷惑をかけてしまっている。などといった事が起こっているからではありませんか?

ここでひとつお伝えしておきたいことがあります。子育てコーチングとは自分の思い通りに子供を育てるための手段ではありません。お子さんの気持ちに立って話を聴いてあげることで、親子の関係性が良好になるところに重きを置いています。

結果的に、関係性が良好になることで、お子さんの自己受容が増し自分にも周囲にも優しい人間になって行きますが、自分の思い通りに子供を育てる方法ではないことを初めにお断りさせていただきます。

自分の存在を心から認めてくれるという信頼を子供から持ってもらうことが良好な関係を築く第一歩となります。そのための方法を本日はコーチの視点からお伝えさせていただきます。

Ⅰ.上下のコミュニケーションから横のコミュニケーションへ

自分の思い通りに育てるということは、上下のコミュニケーションになります。上下のコミュニケーションとは上に立つものが正しく、下に立つものが間違っているという視点に立ったコミュニケーション方法です。一方、コーチングとはあくまで対等の関係によるコミュニケーションとなります。

もちろん、親と子では「立場」が対等というわけにはいかないでしょう。子供は親に養ってもらわなければ生きてはいけませんしね。しかし、「存在」としてはどうでしょう?あなたの方が上の存在で、子供が下の存在だと思われますか?それはないでしょう。

「存在」としてあくまで対等として、接することが子育てコーチングの肝となります。自分の希望を押し付けるのではなく、子供のいう事をあからさまに否定するのではなく、あくまで対等の存在として子供と関わっていくことが大切です。このようなコミュニケーションを行うことで、自然と子供の心は愛情で満たされ、優しさにあふれた素晴らしい存在のまま成長をしていくのです。

Ⅱ.家族心理学

とはいえ、親子の関係は1対1という関係だけで機能するものではない事を本題に入る前にお伝えさせていただきますね。家族心理学という心理学では親子の問題は夫婦の関係性や舅や姑との関係性の全体的なシステムが相互に結びつき起こっていると定義しています。

1.家族間のシステムが機能しない事で子供を傷つけてしまう例

簡単にいうといくら子育てコーチングをしてお子さんとの関係性を良好に保とうとしても、家族間のシステムが悪いとうまく行きませんという事です。

舅、姑との関係性

舅と姑との関係性の悪さを家族の話として子供の前で話をしてしまう事で、子供は精神的にバランスが取れなくなってしまう可能性が高まってしまいます。

夫婦間の関係性

夫婦間の関係性が悪くて旦那さんの愚痴をいつも聞かされ続けているお子さんがいるとしたら精神のバランスがうまくとれなくなってしまう可能性が高まってしまいます。

子供の過度な権利

また、子供の言う事は絶対だと子供の家族の中での発言権を1番においてしまう事も子供の発達に良くありません。

2.立場と世代間境界線をはっきりと区分する

この項目では家族の中における立場と世代間における境界線を区分する事の必要性について書かせて頂きます。

立場の明確化

親と子供の立場は明確に違いますよね。扶養する側と扶養される側という意味でもそうですし、そのほかの部分でも立場はまったく異なりますよね。また、親が子供よりも上の”存在”というで事はありませんが、立場としては明確な上下関係にあります。

親が子供を養っているのに、子供の意見が第一優先される家庭は立場が逆転してしまっているので、子供の教育上好ましくありません。のびのびと育てるというのと、甘やかして育てるのとではまったく違います。

世代間境界線の区分

舅や姑との関係の悪さは自分たち夫婦の世代間と、舅や姑の夫婦の世代間の関係性の悪さによるものです。分かりやすく舅や姑を第1世代、夫婦を第2世代、子供を第3世代として説明させて頂きます。

世代間境界線の区分とは、第1世代と第2世代の対立に第3世代の子供を巻き込まないようにしたり、第2世代である夫婦間の対立に第3世代の子供を巻き込まないようにしていく事です。

世代間の立場を明確に区分してはっきりと心理的な境界線を引く事が家族心理学では重要なのです。世代間の区分がはっきりしているほど子供がかかる心理的負担が減り、子育てコーチングで子供の可能性を伸ばして行く事が出来るのです。

Ⅱ.傾聴とは

子育てコーチングでは傾聴という聞き方をマスターしていく必要があります。傾聴とはただ単に話を聞くことではないという事は、もうすでにあなたに雰囲気的に伝わっているかもしれませんね。そうです。傾聴とはただ話を聞くことではありません。

傾聴の説明の前に、「聞く」「聴く」の違いからまずは説明させていただきますね。この2つの違いはなかなか区別がつかない人も多いのでこの章で改めて説明致します。

『広辞苑』(岩波書店)
広く一般には「聞」を使い、注意深く耳を傾ける場合に「聴」を使う。

広辞苑では上記のように「聞く」ことと、「聴く」ことが分けられて定義されています。当然、傾聴の「聴」は注意深く耳を傾ける場合に使う時に使う聴くから来ています。では、「傾」とはなんでしょうか?

それは、耳以外にも心も身体も存在も全てを傾けるほど真剣に聴くことから、「傾」が使われています。ようはより真剣に聴くということです。コーチやカウンセラーはクライアントと接する時は常にこの傾聴を意識しています。

とはいえ、より真剣に聴くと言ってもあなたはどのように聴けばいいのかという所に疑問を持たれていることでしょう。では、その疑問に次の章でお答えさせていただきますね。

Ⅲ.傾聴の具体的な5つの方法

この章では基本的な傾聴の方法についてお伝えさせていただきます。とはいえ、難しい事はなにひとつありません。気持ちの置き所を意識的に変えていくだけで、傾聴力は驚くほど向上していくものです。簡単ではありますが、とても効果の高い方法となりますため、お試しください。

1.子供の気持ちに立って聴く

傾聴で意識をしていただきたいことは、相手の気持ちに立って聴くということです。通常、人は自分の思考と言うフィルターを通して人の話を聞いています。相手の話を自分はどう思うか?という評価・判断をして相手に返答していくのです。

この聞き方では相手の話を聞いているようで、実はまったく聞いていません。これでは自分の頭の中の思考と対話している状態だと言えます。自分の思考ではなく、お子さんの気持ちに立ってが何を伝えたいのか?という部分に意識をフォーカスして見て下さい。

2.自分から見てどのように映っているかを伝えて上げる

話をしているお子さんが自分から見てどのように映っているかを伝えて上げることで、お子さんの中でより深く話をしている内容に意識が向かっていきます。結果として話がより鮮明になり内容が具体的にまとまって行くのです。

例えば、

  • うれしそうに話をしているねー。
  • とっても悔しそうに見えるよ。
  • すっごく頼もしく見えるよ。etc

このようにあなたから映るお子さんの状態を口にだして表現してあげることが大切です。お子さんが自分の話に深く入っていくことで、あなたはお子さんの深層心理にある声を聞くことが出来るのです。普段本人も意識していない深層心理の話を聞くことでお子さんのより深い部分があらわになってくるのです。

3.事柄ではなく感情にスポットライトをあてる

傾聴で大切なことは事柄ではなく、感情にスポットライトをあてるということです。「何をしたのか?」「いつするのか?」「なぜそうしたのか?」という事柄を聞くことよりも、「どう感じたのか?」「その経験を通して何が見えたのか?」「いま感じている気持ちは?」など、感情を聞くことが大切です。

なぜなら、事柄ばかりを聞いてしまうと、思考の声ばかりに意識を取られてしまうからです。思考の声とは頭で考え出していく言葉です。よって、自分の気持ちに意識が向いていきません。一方、感情の声とは現在の感情がありのまま表現された声となります。そのため、気持ちにダイレクトにアクセスすることが出来ます。

気持ちを伝えることのインパクトは想像以上に大きなものです。自分の気持ちを伝えることで、お子さんはあなたに対してより自分をわかってくれるという肯定的な感情が大きく芽生えることでしょう。感情を聞くことで信頼関係が強固になっていくのです。

4.自分の意見を押し付けない

傾聴に最も適さないコミュニケーションが自分の意見を押し付けるです。もし、あなたがお子さんから嫌われたいのであれば、最適なコミュニケーションだと言えるでしょう。使えば使うほど心のクレバスは大きく深くなっていくこと間違いなしです。

でも、あなたは「子供は子供なんだから、大人がきちんと教えて上げないときちんとした常識が身につかないのではないか?」とお考えになっているかもしれません。そこで、例を見てもらうことで、あなたにどちらのコミュニケーションを軸としていただくかを決めてもらおうと思います。

例 ピーマンを残してしまっている時

「どうして、毎回、あんたは残すの。せっかく作った私の身になりなさい。ピーマン食べるまでは席から立ったらダメだからね。」

「すごくまずそうな顔してるね。嫌いなの?お母さんは作った料理が残されるのはとっても悲しいな。」

さて、料理を残さず食べて欲しいという同じ意味を伝えるにしても、どちらがお子さんとの意思の疎通を図れるでしょうか?例え結果が同じだったとしてもお子さんに与える心境は違うと思いませんか?あなたが子供だったとしたら、どちらで接してもらいたいでしょうか?

後者の様に自分の気持ちを伝えるメッセージをアイ・メッセージといいます。この伝達手法は自分の気持ちを伝える上に相手に嫌な気持ちを起こさせない話し方です。その上、自分の主張を聞いてもらいやすくなるという一石二丁の方法です。

5.今に焦点をあてる

傾聴では今に焦点をあてることもとても重要な要素のひとつとなります。あなたがお子さんの話を聞いている時に、過去のことを振り返って思いに耽ったり、未来の事をあれこれ考えていたらどうでしょう?きちんとお子さんの話を聞いているとは言えませんよね。

常に今目の前にいるお子さんに焦点をあてて、今この瞬間に意識を置いておくことが大切です。そのためには、自分の思考を客観的に把握していく必要があります。思考とは浮かんでは消えていく性質を持っています。問題なのは浮かんだところでキャッチアップをしてしまうから思考に捉われてしまうのです。

思考をキャッチアップしてしまったと客観的に判断出来れば、思考を手放すことも容易になってきます。あなたは、お子さんの話に意識を向けつつも、絶えず今の自分が思考に捉われていないかに注意を払ってみて下さい。初めはなれないので難しいかもしれませんが、筋力と同じでこの能力は鍛えることで強化されていきます。傾聴をマスターするならぜひ身に付けてみて下さい。

Ⅲ.子供の無限の可能性を信じる

子育てコーチングではお子さんの無限の可能性を信じることがまずは何よりも求められます。お子さんはあなたが1から10まで指示を出さなければ育っていけないような非力な存在ではありません。彼らには無限の可能性も才能も想像力も眠っているのですから、答えは彼らの中に自然と詰まっているのです。

子供を自分がいないと何もできない頼りない存在と認識してしまうと、あなたのコミュニケーションは自然と上下のコミュニケーションとなってしまいます。上下のコミュニケーションは別名対立のコミュニケーションと言われています。それに対して、横のコミュニケーションは協調のコミュニケーションと呼ばれています。

上下のコミュニケーションの背景には子供を自分の思い通りに操るというエゴがあります。自分が思い描いた通りの理想的な子供像にわが子を当てはめようとしているのですから、子供の視点から見れば窮屈で仕方がないでしょう。

子育てコーチングでは、子供の無限の可能性を信じるからこそ、子供の夢や目標を最大限後押し出来るのです。「野球選手になる」でも、「芸能人になる」でもお子さんの夢を頭ごなしに否定するのではなく、本気で達成出来るものと考え、話を聞いてあげてみて下さい。きっと、親子間の関係性に大きな変化が訪れてくるはずです。

Ⅳ.自己受容を満たす

子育てコーチングはあなたのお子さんの自己受容を満たすためにあるといっても過言ではありません。自己受容とは自分自身を愛することです。人は自分自身が満たされ、愛することで初めて自分自身に対しても他人に対しても優しく接することが出来てきます。

子育てコーチングであなたのお子さんの自己受容は確実に満たされてきます。自分自身の発言をあなたが真摯に聞いてくれるという事は、存在価値をあなたに認めてもらえたと認識するのです。。

存在価値を認められることで承認欲求が満たされるため、心のスペースから認められたいという渇望が消えていくのです。その空いたスペースに愛が満たされていくのです。子育てコーチングを受けることであなたのお子さんが愛に満たされた素晴らしい光へと変化していくのです。

下記の記事では自己受容について具体的に書かせて頂きましたのだ併せてご覧下さい。

Ⅴ.子育てコーチングにおけるとても簡単な3つのテクニック

この章では子育てコーチングの簡単なテクニックを3つ紹介させていただきます。当然、このテクニックを使う前提として傾聴が出来ている必要があります。傾聴が出来るようになった上でこのテクニックを使ってみて下さい。きっと大きな効果に驚かれるはずです。

1.イメージの世界を作り上げる

あなたがお子さんの話を聞く場合、お子さんをイメージの世界へいざなって下さい。イメージの世界へいざなうには比喩が最適です。

例えば、

  • あの雲の上から見たら何が見えるかな?
  • にゃんちゃんが喋れたら〇〇ちゃんを見てなんていうと思う?
  • まるで鬼退治に行く桃太郎見たいだねetc

子供の空想力は大人をはるかに凌駕します。実際のコーチングでもイメージの世界を多用しますが、子育てコーチングではイメージの世界はより重要性をおびてきます。イメージを作り上げることで、あなたのお子さんはより深層心理の中に入っていくことが出来ます。そうすることで、心の中の声をより具体的に具現化出来るのです。

深層心理の中にこそ溢れるほどの金銀財宝が眠っているのです。

2.アニメや童話のキャラを使う

イメージの世界同様、アニメや童話のキャラクターも子育てコーチングではとても重要なリソースとなってきます。あなたのお子さんがなりたいアニメのキャラクターはどういった人物でしょうか?そしてその理由は何だと思いますか?子供がなりたいアニメのキャラクターは無意識のうちに自分が発揮したい能力を投影しています。

例えば、ルフィーになりたいのであれば、勇気・活発・元気・人から好かれるなどがあるでしょう。そういったあなたのお子さんが憧れる漫画のキャラクターを子育てコーチングでは使って行きます。具体的には、「〇〇ちゃんの中にいるルフィーはなんていっているの?」などと聞いてみて下さい。

きっと、ルフィーの思考を反映した答えが返ってくるでしょう。お子さんのなりたいキャラクターを複数人把握しておくととても役に立ちます。

理由として、お子さんが元気のない時にはルフィーなど活発なキャラを使い、お子さんに理性的に考えてほしい時はコナンなど理性的なキャラクターを呼び出すことで、状況に応じた返答が帰ってくるはずです。

キャラクターを使うことで、お子さんだけではたどり着けないであろう、たどり着くのです。ぜひ、積極的にアニメのキャラクターを使ってみて下さい。

3.オープンクエスチョンをする

オープンとは話が広がる質問の事です。逆に話が閉じてしまう質問をクローズド質問と言います。クローズド質問とは「宿題やった?」「きちんと連絡した?」「進路は決めた?」など、イエスかノーでしか答えられない質問を指します。このような質問では要件を聞くだけで話が広がりません。

逆にオープンクエスチョンは質問をすることで話に広がりを持たせます。オープンクエスチョンのコツとしては感情に焦点をあてた質問を投げかけることです。

  • 今の気持ちはどう?
  • 話をしてみていま何が見える?
  • なにが心の中から出て来ているの?etc

オープンクエスチョンをするということは、検索エンジンにキーワードを入れることに似ています。検索エンジンにキーワードを入れると、膨大なネット上の情報から最適なサイトが表示されてきますよね。それと同様、質問を投げかけることで、脳にある膨大な情報の中から潜在意識が最適解を見つけ出してくるのです。

質問を投げかけられた本人ですら意識をしていなかった答えが出てくるのはそのためです。オープンクエスチョンを使いこなすことで、よりあなたのお子さんと深くつながることが出来るでしょう。

まとめ 子育てコーチングをすれば親子関係は良好に

子育てコーチングはコーチングを通してお子さんが結果的に人として大きく飛躍していきます。それというのもあなたが真剣にお子さんの話に耳を傾けることで、自然と自分自身の存在価値に自信を持てるようになるからです。

多くの人は子供のころから数々のことを否定されて育ってきています。特に関係が近ければ近いほど、上下のコミュニケーションにて押さえつけられ、ありのままの自分自身を表現できなくなってしまうものです。人はありのままの自分自身でいる時こそ、精神的にも肉体的にもイノベーション的にも最高のポテンシャルを発揮するものです。

あなたが子育てコーチングをすることで、お子さんはありのままの自分自身でいてもいいのだという揺るぎない許可をあなたから受け取ります。この許可こそ人の可能性を無限大の伸ばしていく秘訣だと言えるでしょう。

しかし、最も大切なことは、あなたとお子さんの関係が子育てコーチングを通して、これ以上ないというほど良好になることです。親子ではあるけれども、親友のような間柄になっていけることこそが子育てコーチングの醍醐味と言えるでしょう。

あなたも子育てコーチングをマスターして、お子さんと親友になってみませんか?

よりコーチング力を伸ばしたい方は下記のカテゴリから必要な記事をご参照下さい。

コメント

  1. PUG より:

    坪井さん

    初めまして。2人の子供を持つ主婦です。大変学びの多い記事をありがとうございます。子育てコーチングについて知りたいなと思いこちらのブログにたどり着きました。

    自分の関わりが子供たちにどんな影響を与えるのか?子供を幸せに導いてあげるためには私は何をすれば良いのか?を具体的に考えることができました。はっとさせられることも多く、気づけて良かったです^^

    動画も一部見させていただき、坪井さんの人柄とコーチングの素晴らしさを伝えたい情熱が感じられ、私もコーチングについてもっと知りたくなりました。

    ブログの記事や、動画ゆっくり全部見させてもらいたくさん学ばせていただこうと思っています。

    感謝の気持ちをどうしても伝えたくコメントしました。ありがとうございました。

    • RUGさん
      心のこもったメッセージをどうもありがとうございます。このようにコーチングを知っていただけることが僕にとってはとてもうれしいことですし、気持ちを送っていただけることがとても幸せです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

    • PUGさん

      ブログの更新をしていなかったため
      いま気づきました。

      とても素晴らしいお言葉ありがとうございます。
      心が嬉しくなりました。

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